イントロが流れて
歌が始まる

わたしはゆっくりとした足取りで
ステージに向かう
わたしは白地に少し派手目な
着物風の長襦袢
裾よけは白地に赤い桜柄
足袋は生成りに紺の桜柄

ときどき振り返ったり
なにかを
誰かを
探しているように

ステージ中央より少し前の位置に
裾が乱れないように
少し前かがみに正座をする

ゆっくりと
カラダを起こすのに合わせて
両手を頭に持っていき
髪をまとめているクリップを外し
腰まである長い髪を
左側に垂らす

指を使ってゆっくりと数回
手櫛をしてから
伊達締めに挟んでおいた
小さな手鏡と櫛を取り出す

鏡を見ながら
ゆっくり
ゆっくりと
櫛で髪を解いていると
青い作務衣姿の
愛しい人が現れ
鏡と櫛をわたしの手から受け取り


ずっと
ずっと
長いあいだ待っていた
やっとわたしの前に現れてくれた


彼女の手によって
赤い麻縄で
右斜め上に髪を結ってもらう

背中かから強く
抱きしめられ
わたしも両手で応える

両手を後ろに回され
カラダに縄がかけられていく

その心地よさに
身を任せながら
手ぬぐいの猿轡をされ
右側を上に
吊り上げられる


くるくる
ゆらゆら


耳にキスをしていただく

心地よさの中に飛んでくる
竹定規や１本鞭の痛み


一旦下に下ろしていただき
仰向けに

左足は膝を折り縄を二重に
右足は足首にそれぞれ縄をかけられ
今度は逆さに吊り上げられる

頭は下に残したまま

縄をかけられている胸元をはだけられ
鞭で打たれ
胸を鷲掴みにされる

頬や胸に蝋燭をいただいたあと
髪を引かれ
膝で腰を押され
カラダを反らせられると
上から真っ直ぐに吊られている右足を
赤いロウソクが垂れ流れる

それまでゆっくりとしていたBGMが
ロック調になり
わたしは下ろしてもらい
彼女は軽快に縄を解いていく


とても
とてもしあわせな
あっという間の40分間でした