ホテルの部屋に入るとすぐに、彼は私を抱きしめてきた。
私も彼のカラダに手を回す。
まだ靴も脱いでいなかった。
彼は貪るように私の唇を求めてくる。
私もそれに応える。
舌を挿し込まれ絡ませた。
息もできないくらいの激しいキスに、私はカラダの力が抜けてしまう。
不意に彼に抱き上げられた。
私は彼の首に両手を回す。
彼は部屋を横切るとベッドまで運んだ。
カラダを支えるように優しくおろしてくれる。
そのまま押し倒され、再び唇をふさがれた。
「・・・会いたかった・・・本当に・・・」
彼が私の唇をついばみながら言う。
「、、私も、、、」
私は目を閉じたまま答える。
「目・・開いて・・僕を見て・・・」
ゆっくり目を開くと、目の前に彼の顔があった。
とても優しい瞳をしている。
私はにっこりと微笑み返した。
「・・名前、教えてくれるね?」
彼が髪を撫でてくれる。
「、、ゆきな、、、、」
「僕は一幸。ひとつの幸せって書くんだよ・・」
「、、ひとつの、、幸せ、、、」
私の目から涙が零れ落ちる。
「ど・・どうしたの?」
彼が驚いたように聞く。
「、、、私、、私、、もう一度、、あなたに会いたかった、、、」
「僕も君に・・ゆきなに会いたかったよ。ずっと探していた・・・」
彼は私の隣に横になると、左腕を伸ばし腕枕をしてくれた。
私は甘えるように彼の胸にしがみつく。
「君が一人で帰ったあと、ものすごく後悔したんだ。どうして連絡先を聞かなかったんだろうって・・」
「、、うん、、」
「僕と君の接点と言ったら、あの本屋しかないだろ?僕はあれ以来毎日通ったよ・・・ 仕事が終わってから閉店まであの店で待っていた・・・・」
「、、うん、、、」
彼は両腕で私をきつく抱きしめてくれる。
「こんなにも早く会えるなんて・・・」
彼が唇を重ねる。
私は少し口を開くように彼の舌を迎え入れる。
ちろちろと舌を動かし時々強く吸う。
私は不思議な安心感で彼の舌の動きに身を任せていた。
彼の手がブラウスのボタンにかかる。
「あ、、いや、、」
私は思わず彼の手を押えてしまった。
「ああ・・・ごめん。探していた想い人に会えた喜びからつい・・・」
彼は再び腕枕をして髪を撫でてくれる。
「そうだよね。君に会う事だけが目的だったのに、これじゃまるでカラダが目的みたいだよね。本当にごめん。」
私は彼の胸に頭を乗せる。
「、、ううん、、、そうじゃないの、、、私もあなたに会えて、、とても嬉しい、、、カラダが目的だったとしても、、 かまわないくらい嬉しい、、、でも、、」
「カラダが目的なんかじゃない。これは本当だ。」
「、、うん、、、ありがと、、、その言葉だけで充分、、、」
私はカラダを起こすとベッドから降りる。
「ありがとう、、もう充分よ、、、あなたに巡り逢えた、、それだけで、、それだけで充分癒されたから、、」
「・・・何を言っているの?」
彼は怪訝な顔をする。
「、、、私、、帰ります、、もう2度と、、私を探さないで、、、」
私は彼に向かって頭を下げると、ドアに向かう。
「ちょっと待って!」
彼は飛び起きると後ろから私を抱きしめた。
「このまま別れるなんて、絶対に嫌だ。できることなら2度と君を離したくない。」
私は彼の手に唇を寄せる。
「、、、私は、、、汚れた女なの、、、きっとあなたを不幸にするわ、、、」
「そんな事ない。君はキレイだよ。あの時も・・・凄く君はキレイだった・・・」
彼は抱きしめた腕に力を入れる。
私はゆっくりと彼のほうを向く。
「、、、、見て、、」
私は彼の両腕を解くとブラウスのボタンを外す。
全部外すと一気に床に落とした。
「!!?」
彼は大きく目を見開く。
私はかまわずにスカートを脱ぎ、下着も取った。
完全にハダカになると彼から少し離れる。
全身傷だらけ、痣だらけになった私のカラダ、、、
彼は驚きのあまり言葉も出ないようだった。
「、、私、、、上司の玩具になっているの、、、もう、、3年も、、、SMって知ってる、、?、、 私の上司の趣味らしいわ、、、3年前、、入社してすぐ、、課長に薬を飲まされて、、、 カラダの自由が聞かない状態で、、縛られて、、恥ずかしい格好をさせられて、、、犯されて、、 沢山写真に撮られて、、、その写真のせいで、、私はずっと、、課長の玩具、、奴隷なのよ、、、 最初は、、死のうとまで思ったわ、、、でも、、できなかった、、それどころか、、いつの間にか私は、、、 課長の手で開発されて、、、いやらしく濡らしながら、、セックスのおねだりまでするような、、 そんな卑しい女になってしまったの、、、初めて会ったあなたと寝るような、、私は、、 私はそういう女なの、、汚い、、最低の女なの、、、」
彼は呆然としたように膝を落とす。
「、、わかったでしょ?、、私はあなたにふさわしくないわ、、、」
「・・・その傷はどうしたの?」
彼が下を向きながら聞く。
「、、、つい先日複数プレイのときのネガと写真を取り返すために、、、男の子と寝たから、、その罰で、、」
「・・・そう・・」
彼はしばらく考え込むように黙っていた。
「・・・ひとつ・・聞いてもいい?」
数分後、彼がゆっくりと口を開く。
「、、なあに?」
「君は・・・ゆきなは今の状況が好きなの・・・?・・満足している・・?」
私は苦笑する。
「、、好きなわけないでしょ、、、でも、、他に方法がないの、、、自分自身を守るためには、、 課長の言いなりになるしかないの、、、」
彼は立ち上がると、私を抱きしめた。
「会社なんて辞めて僕のとこにおいで・・」
彼ははっきりとそう言った。
「僕が・・僕がずっと守ってあげるから・・」
私は彼の腕を振り解こうとする。
「そんなことできるわけないでしょ、、?そんな、、夢のようなこと、、、」
彼はしっかりと私を羽交い絞めにする。
「どうして・・?」
頭越しに彼の声がする。
優しい彼の声、、
本当に、、そんな夢のようなことができるのかしら、、、
私達は長い間黙っていた。
最初に口を開いたのは彼のほうだった。
「とりあえず僕の部屋に帰ろう。傷の手当てをしないと・・・いいね?」
力強い彼の声に、私ははっきりとうなずいた。
都心に近い高級住宅地にそのマンションはあった。
総レンガ造りの落ち着いた佇まい。
広い、まるでホテルのようなロビーを横切るとエレベーターに乗った。
外から見ると7~8階建てのようだったのに、表示は4階までしかない。
彼は4階のボタンを押す。
エレベーターを降りて2つ目の部屋「402」が、彼の部屋だった。
~結城一幸~
表札にそう書いてある。
カードを差し込んでから暗証番号を入力、それからキーを差し込んだ。
ガチャッ。
少し重い音がしてロックが外れる。
彼はドアを大きく開くと、私を先に中に入れてくれた。
広い玄関。目の前に吹き抜けのポーチと階段。
マンションなのに、まるで1戸建てのような造りだった。
彼は1番手前のドアを開ける。
何もない和室だった。
「ちょっとここで待ってて。今、薬箱持ってくるから。」
彼はそういうと部屋を出て行った。
私は部屋に入ると壁にもたれるように座る。
数分後、彼は両手に荷物を抱えて戻ってきた。
「そんな隅っこで何してるの?」
彼が笑う。
「先にシャワーでも浴びる?消毒はそのあとの方がいいかな?とりあえずタオルと着替え持ってきたけど・・」
私は彼に抱きついた。
「どうしたの・・?大丈夫、僕がいるからもう怖くないよ・・・」
彼は私の頭を撫でてくれる。
「今まで辛かったね・・・これからは僕がずっと守ってあげるから・・・」
私の目から大粒の涙が溢れる。
「、、、どうして、、?」
「ん・・・?」
首を傾げる彼に私は言う。
「どうして、、?まだ2回しか会ってない私に、、それも、、こんなに汚れている私に、、、 どうしてこんなに優しくしてくれるの、、、?」
彼は私の頬を両手で挟むようにする。
「勘かな?・・・君に始めて会った時に僕の一生のパートナーになる人だって・・・ そう思えたから・・・」
彼が軽く唇を合わせてくれる。
「今までよりも、大切なのはこれからだから・・・会社はこのまま辞めて、しばらく家には戻らないほうがいいな。」
「でも、、、」
「ひとり暮らし?」
彼は聞く。
「はい、、、」
「なら問題ないね。あとは僕が何とかする。僕の事信じて・・君はここにいるだけでいいから・・・」
本当に、、本当に今の生活を変えることができるなら、、、
私はまっすぐに彼の瞳を見つめた。
何も変わらないよりも、、、彼を信じてみるのも、、悪くないかもしれない、、、、
「はい、、、」
私はしっかりとうなずいた。
私はその晩のうちに会社に退職願を書いた。
彼がそれをポスト投函する。
その日から彼との同棲生活が始った。
アパートの荷物は、彼が業者を通してすべて処分してくれた。
辛い思い出ばかりが詰った部屋なんて、未練はなかった。
代わりの家具や衣類や、そして私の「居場所」用意してくれた。
彼のために生きる。
私はとても幸せだった。
彼は何度もプロポーズをしてくれた。
そのたびに私は「一緒にいてくれるだけで充分だから」と首を横に振った。
カラダの傷は少しだけあとが残った。
心の傷は、、、忘れるように努力している。
そして2年が過ぎた。
「一幸さん、、私、赤ちゃんができたみたい、、、」
仕事から帰ってきた彼に、私は言った。
「本当に?」
私はうなずく。
「やった!」
彼は私を抱き上げた。
「ゆきな、今度こそ結婚してくれるね?」
私はにっこりと笑う。
「はい、、、よろしくお願いします、、、」
彼はそのまま私を寝室に運ぶとベッドの上におろした。
唇を重ねながら、優しく胸をまさぐる。
「あ・・・赤ちゃんできたらエッチはもうできない?」
彼がまじめな顔をして聞く。
「あは、、、無理なことしなければ、、大丈夫よ、、」
「しないしない。無理なことなんてしない。だから・・しよ」
優しい彼。
そして赤ちゃん。
私は最高の幸せを手に入れた。
そう信じていた、、、
「ね、、お父さんってどんな方、、?」
「親父?普通だよ。大丈夫、怖い人じゃないから。」
彼は声を出して笑う。
彼が父親に私を紹介したいと言うので、私たちは都内のシティホテルのロビーで待っていた。
彼の母親は彼が中学のときに亡くなったらしい。
約束の時間を少しだけ遅れて、お父さんは到着した。
私は深く頭を下げる。
「親父、彼女が僕の奥さんになる人だよ。」
「ゆきなです、、、よろしくお願いします、、、」
私は顔を上げ、そして凍りついた。
「、、西条社長、、、どうして、、?」
社長も少し驚いたような顔をしている。
「え?ゆきな、親父の事知っているの?」
私は彼の方を向き直る。
「どうして?一幸さん、結城って苗字じゃないの?」
「結城だよ。死んだお袋の姓なんだ。僕が5歳のとき両親が離婚したから・・」
私は驚愕の目で社長のほうを見ると、社長はにやっと笑った。
幸せが崩れて行く、、、
私は目の前が真っ暗になった。
(My妄想小説サイト:クリスタルムーンより転機)
私も彼のカラダに手を回す。
まだ靴も脱いでいなかった。
彼は貪るように私の唇を求めてくる。
私もそれに応える。
舌を挿し込まれ絡ませた。
息もできないくらいの激しいキスに、私はカラダの力が抜けてしまう。
不意に彼に抱き上げられた。
私は彼の首に両手を回す。
彼は部屋を横切るとベッドまで運んだ。
カラダを支えるように優しくおろしてくれる。
そのまま押し倒され、再び唇をふさがれた。
「・・・会いたかった・・・本当に・・・」
彼が私の唇をついばみながら言う。
「、、私も、、、」
私は目を閉じたまま答える。
「目・・開いて・・僕を見て・・・」
ゆっくり目を開くと、目の前に彼の顔があった。
とても優しい瞳をしている。
私はにっこりと微笑み返した。
「・・名前、教えてくれるね?」
彼が髪を撫でてくれる。
「、、ゆきな、、、、」
「僕は一幸。ひとつの幸せって書くんだよ・・」
「、、ひとつの、、幸せ、、、」
私の目から涙が零れ落ちる。
「ど・・どうしたの?」
彼が驚いたように聞く。
「、、、私、、私、、もう一度、、あなたに会いたかった、、、」
「僕も君に・・ゆきなに会いたかったよ。ずっと探していた・・・」
彼は私の隣に横になると、左腕を伸ばし腕枕をしてくれた。
私は甘えるように彼の胸にしがみつく。
「君が一人で帰ったあと、ものすごく後悔したんだ。どうして連絡先を聞かなかったんだろうって・・」
「、、うん、、」
「僕と君の接点と言ったら、あの本屋しかないだろ?僕はあれ以来毎日通ったよ・・・ 仕事が終わってから閉店まであの店で待っていた・・・・」
「、、うん、、、」
彼は両腕で私をきつく抱きしめてくれる。
「こんなにも早く会えるなんて・・・」
彼が唇を重ねる。
私は少し口を開くように彼の舌を迎え入れる。
ちろちろと舌を動かし時々強く吸う。
私は不思議な安心感で彼の舌の動きに身を任せていた。
彼の手がブラウスのボタンにかかる。
「あ、、いや、、」
私は思わず彼の手を押えてしまった。
「ああ・・・ごめん。探していた想い人に会えた喜びからつい・・・」
彼は再び腕枕をして髪を撫でてくれる。
「そうだよね。君に会う事だけが目的だったのに、これじゃまるでカラダが目的みたいだよね。本当にごめん。」
私は彼の胸に頭を乗せる。
「、、ううん、、、そうじゃないの、、、私もあなたに会えて、、とても嬉しい、、、カラダが目的だったとしても、、 かまわないくらい嬉しい、、、でも、、」
「カラダが目的なんかじゃない。これは本当だ。」
「、、うん、、、ありがと、、、その言葉だけで充分、、、」
私はカラダを起こすとベッドから降りる。
「ありがとう、、もう充分よ、、、あなたに巡り逢えた、、それだけで、、それだけで充分癒されたから、、」
「・・・何を言っているの?」
彼は怪訝な顔をする。
「、、、私、、帰ります、、もう2度と、、私を探さないで、、、」
私は彼に向かって頭を下げると、ドアに向かう。
「ちょっと待って!」
彼は飛び起きると後ろから私を抱きしめた。
「このまま別れるなんて、絶対に嫌だ。できることなら2度と君を離したくない。」
私は彼の手に唇を寄せる。
「、、、私は、、、汚れた女なの、、、きっとあなたを不幸にするわ、、、」
「そんな事ない。君はキレイだよ。あの時も・・・凄く君はキレイだった・・・」
彼は抱きしめた腕に力を入れる。
私はゆっくりと彼のほうを向く。
「、、、、見て、、」
私は彼の両腕を解くとブラウスのボタンを外す。
全部外すと一気に床に落とした。
「!!?」
彼は大きく目を見開く。
私はかまわずにスカートを脱ぎ、下着も取った。
完全にハダカになると彼から少し離れる。
全身傷だらけ、痣だらけになった私のカラダ、、、
彼は驚きのあまり言葉も出ないようだった。
「、、私、、、上司の玩具になっているの、、、もう、、3年も、、、SMって知ってる、、?、、 私の上司の趣味らしいわ、、、3年前、、入社してすぐ、、課長に薬を飲まされて、、、 カラダの自由が聞かない状態で、、縛られて、、恥ずかしい格好をさせられて、、、犯されて、、 沢山写真に撮られて、、、その写真のせいで、、私はずっと、、課長の玩具、、奴隷なのよ、、、 最初は、、死のうとまで思ったわ、、、でも、、できなかった、、それどころか、、いつの間にか私は、、、 課長の手で開発されて、、、いやらしく濡らしながら、、セックスのおねだりまでするような、、 そんな卑しい女になってしまったの、、、初めて会ったあなたと寝るような、、私は、、 私はそういう女なの、、汚い、、最低の女なの、、、」
彼は呆然としたように膝を落とす。
「、、わかったでしょ?、、私はあなたにふさわしくないわ、、、」
「・・・その傷はどうしたの?」
彼が下を向きながら聞く。
「、、、つい先日複数プレイのときのネガと写真を取り返すために、、、男の子と寝たから、、その罰で、、」
「・・・そう・・」
彼はしばらく考え込むように黙っていた。
「・・・ひとつ・・聞いてもいい?」
数分後、彼がゆっくりと口を開く。
「、、なあに?」
「君は・・・ゆきなは今の状況が好きなの・・・?・・満足している・・?」
私は苦笑する。
「、、好きなわけないでしょ、、、でも、、他に方法がないの、、、自分自身を守るためには、、 課長の言いなりになるしかないの、、、」
彼は立ち上がると、私を抱きしめた。
「会社なんて辞めて僕のとこにおいで・・」
彼ははっきりとそう言った。
「僕が・・僕がずっと守ってあげるから・・」
私は彼の腕を振り解こうとする。
「そんなことできるわけないでしょ、、?そんな、、夢のようなこと、、、」
彼はしっかりと私を羽交い絞めにする。
「どうして・・?」
頭越しに彼の声がする。
優しい彼の声、、
本当に、、そんな夢のようなことができるのかしら、、、
私達は長い間黙っていた。
最初に口を開いたのは彼のほうだった。
「とりあえず僕の部屋に帰ろう。傷の手当てをしないと・・・いいね?」
力強い彼の声に、私ははっきりとうなずいた。
都心に近い高級住宅地にそのマンションはあった。
総レンガ造りの落ち着いた佇まい。
広い、まるでホテルのようなロビーを横切るとエレベーターに乗った。
外から見ると7~8階建てのようだったのに、表示は4階までしかない。
彼は4階のボタンを押す。
エレベーターを降りて2つ目の部屋「402」が、彼の部屋だった。
~結城一幸~
表札にそう書いてある。
カードを差し込んでから暗証番号を入力、それからキーを差し込んだ。
ガチャッ。
少し重い音がしてロックが外れる。
彼はドアを大きく開くと、私を先に中に入れてくれた。
広い玄関。目の前に吹き抜けのポーチと階段。
マンションなのに、まるで1戸建てのような造りだった。
彼は1番手前のドアを開ける。
何もない和室だった。
「ちょっとここで待ってて。今、薬箱持ってくるから。」
彼はそういうと部屋を出て行った。
私は部屋に入ると壁にもたれるように座る。
数分後、彼は両手に荷物を抱えて戻ってきた。
「そんな隅っこで何してるの?」
彼が笑う。
「先にシャワーでも浴びる?消毒はそのあとの方がいいかな?とりあえずタオルと着替え持ってきたけど・・」
私は彼に抱きついた。
「どうしたの・・?大丈夫、僕がいるからもう怖くないよ・・・」
彼は私の頭を撫でてくれる。
「今まで辛かったね・・・これからは僕がずっと守ってあげるから・・・」
私の目から大粒の涙が溢れる。
「、、、どうして、、?」
「ん・・・?」
首を傾げる彼に私は言う。
「どうして、、?まだ2回しか会ってない私に、、それも、、こんなに汚れている私に、、、 どうしてこんなに優しくしてくれるの、、、?」
彼は私の頬を両手で挟むようにする。
「勘かな?・・・君に始めて会った時に僕の一生のパートナーになる人だって・・・ そう思えたから・・・」
彼が軽く唇を合わせてくれる。
「今までよりも、大切なのはこれからだから・・・会社はこのまま辞めて、しばらく家には戻らないほうがいいな。」
「でも、、、」
「ひとり暮らし?」
彼は聞く。
「はい、、、」
「なら問題ないね。あとは僕が何とかする。僕の事信じて・・君はここにいるだけでいいから・・・」
本当に、、本当に今の生活を変えることができるなら、、、
私はまっすぐに彼の瞳を見つめた。
何も変わらないよりも、、、彼を信じてみるのも、、悪くないかもしれない、、、、
「はい、、、」
私はしっかりとうなずいた。
私はその晩のうちに会社に退職願を書いた。
彼がそれをポスト投函する。
その日から彼との同棲生活が始った。
アパートの荷物は、彼が業者を通してすべて処分してくれた。
辛い思い出ばかりが詰った部屋なんて、未練はなかった。
代わりの家具や衣類や、そして私の「居場所」用意してくれた。
彼のために生きる。
私はとても幸せだった。
彼は何度もプロポーズをしてくれた。
そのたびに私は「一緒にいてくれるだけで充分だから」と首を横に振った。
カラダの傷は少しだけあとが残った。
心の傷は、、、忘れるように努力している。
そして2年が過ぎた。
「一幸さん、、私、赤ちゃんができたみたい、、、」
仕事から帰ってきた彼に、私は言った。
「本当に?」
私はうなずく。
「やった!」
彼は私を抱き上げた。
「ゆきな、今度こそ結婚してくれるね?」
私はにっこりと笑う。
「はい、、、よろしくお願いします、、、」
彼はそのまま私を寝室に運ぶとベッドの上におろした。
唇を重ねながら、優しく胸をまさぐる。
「あ・・・赤ちゃんできたらエッチはもうできない?」
彼がまじめな顔をして聞く。
「あは、、、無理なことしなければ、、大丈夫よ、、」
「しないしない。無理なことなんてしない。だから・・しよ」
優しい彼。
そして赤ちゃん。
私は最高の幸せを手に入れた。
そう信じていた、、、
「ね、、お父さんってどんな方、、?」
「親父?普通だよ。大丈夫、怖い人じゃないから。」
彼は声を出して笑う。
彼が父親に私を紹介したいと言うので、私たちは都内のシティホテルのロビーで待っていた。
彼の母親は彼が中学のときに亡くなったらしい。
約束の時間を少しだけ遅れて、お父さんは到着した。
私は深く頭を下げる。
「親父、彼女が僕の奥さんになる人だよ。」
「ゆきなです、、、よろしくお願いします、、、」
私は顔を上げ、そして凍りついた。
「、、西条社長、、、どうして、、?」
社長も少し驚いたような顔をしている。
「え?ゆきな、親父の事知っているの?」
私は彼の方を向き直る。
「どうして?一幸さん、結城って苗字じゃないの?」
「結城だよ。死んだお袋の姓なんだ。僕が5歳のとき両親が離婚したから・・」
私は驚愕の目で社長のほうを見ると、社長はにやっと笑った。
幸せが崩れて行く、、、
私は目の前が真っ暗になった。
(My妄想小説サイト:クリスタルムーンより転機)
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