2ntブログ
眠らない森
ひざまずいてもなお、踏みにじられながらイかされる事が愛されていると実感できるから・・・変態妄想に抗えない
やさしい雨(11)
ホテルの部屋に入るとすぐに、彼は私を抱きしめてきた。
私も彼のカラダに手を回す。
まだ靴も脱いでいなかった。
彼は貪るように私の唇を求めてくる。
私もそれに応える。
舌を挿し込まれ絡ませた。
息もできないくらいの激しいキスに、私はカラダの力が抜けてしまう。
不意に彼に抱き上げられた。
私は彼の首に両手を回す。
彼は部屋を横切るとベッドまで運んだ。
カラダを支えるように優しくおろしてくれる。
そのまま押し倒され、再び唇をふさがれた。
「・・・会いたかった・・・本当に・・・」
彼が私の唇をついばみながら言う。
「、、私も、、、」
私は目を閉じたまま答える。
「目・・開いて・・僕を見て・・・」
ゆっくり目を開くと、目の前に彼の顔があった。
とても優しい瞳をしている。
私はにっこりと微笑み返した。
「・・名前、教えてくれるね?」
彼が髪を撫でてくれる。
「、、ゆきな、、、、」
「僕は一幸。ひとつの幸せって書くんだよ・・」
「、、ひとつの、、幸せ、、、」
私の目から涙が零れ落ちる。
「ど・・どうしたの?」
彼が驚いたように聞く。
「、、、私、、私、、もう一度、、あなたに会いたかった、、、」
「僕も君に・・ゆきなに会いたかったよ。ずっと探していた・・・」
彼は私の隣に横になると、左腕を伸ばし腕枕をしてくれた。
私は甘えるように彼の胸にしがみつく。
「君が一人で帰ったあと、ものすごく後悔したんだ。どうして連絡先を聞かなかったんだろうって・・」
「、、うん、、」
「僕と君の接点と言ったら、あの本屋しかないだろ?僕はあれ以来毎日通ったよ・・・ 仕事が終わってから閉店まであの店で待っていた・・・・」
「、、うん、、、」
彼は両腕で私をきつく抱きしめてくれる。
「こんなにも早く会えるなんて・・・」
彼が唇を重ねる。
私は少し口を開くように彼の舌を迎え入れる。
ちろちろと舌を動かし時々強く吸う。
私は不思議な安心感で彼の舌の動きに身を任せていた。
彼の手がブラウスのボタンにかかる。
「あ、、いや、、」
私は思わず彼の手を押えてしまった。
「ああ・・・ごめん。探していた想い人に会えた喜びからつい・・・」
彼は再び腕枕をして髪を撫でてくれる。
「そうだよね。君に会う事だけが目的だったのに、これじゃまるでカラダが目的みたいだよね。本当にごめん。」
私は彼の胸に頭を乗せる。
「、、ううん、、、そうじゃないの、、、私もあなたに会えて、、とても嬉しい、、、カラダが目的だったとしても、、 かまわないくらい嬉しい、、、でも、、」
「カラダが目的なんかじゃない。これは本当だ。」
「、、うん、、、ありがと、、、その言葉だけで充分、、、」
私はカラダを起こすとベッドから降りる。
「ありがとう、、もう充分よ、、、あなたに巡り逢えた、、それだけで、、それだけで充分癒されたから、、」
「・・・何を言っているの?」
彼は怪訝な顔をする。
「、、、私、、帰ります、、もう2度と、、私を探さないで、、、」
私は彼に向かって頭を下げると、ドアに向かう。
「ちょっと待って!」
彼は飛び起きると後ろから私を抱きしめた。
「このまま別れるなんて、絶対に嫌だ。できることなら2度と君を離したくない。」
私は彼の手に唇を寄せる。
「、、、私は、、、汚れた女なの、、、きっとあなたを不幸にするわ、、、」
「そんな事ない。君はキレイだよ。あの時も・・・凄く君はキレイだった・・・」
彼は抱きしめた腕に力を入れる。
私はゆっくりと彼のほうを向く。
「、、、、見て、、」
私は彼の両腕を解くとブラウスのボタンを外す。
全部外すと一気に床に落とした。
「!!?」
彼は大きく目を見開く。
私はかまわずにスカートを脱ぎ、下着も取った。
完全にハダカになると彼から少し離れる。
全身傷だらけ、痣だらけになった私のカラダ、、、
彼は驚きのあまり言葉も出ないようだった。
「、、私、、、上司の玩具になっているの、、、もう、、3年も、、、SMって知ってる、、?、、 私の上司の趣味らしいわ、、、3年前、、入社してすぐ、、課長に薬を飲まされて、、、 カラダの自由が聞かない状態で、、縛られて、、恥ずかしい格好をさせられて、、、犯されて、、 沢山写真に撮られて、、、その写真のせいで、、私はずっと、、課長の玩具、、奴隷なのよ、、、 最初は、、死のうとまで思ったわ、、、でも、、できなかった、、それどころか、、いつの間にか私は、、、 課長の手で開発されて、、、いやらしく濡らしながら、、セックスのおねだりまでするような、、 そんな卑しい女になってしまったの、、、初めて会ったあなたと寝るような、、私は、、 私はそういう女なの、、汚い、、最低の女なの、、、」
彼は呆然としたように膝を落とす。
「、、わかったでしょ?、、私はあなたにふさわしくないわ、、、」
「・・・その傷はどうしたの?」
彼が下を向きながら聞く。
「、、、つい先日複数プレイのときのネガと写真を取り返すために、、、男の子と寝たから、、その罰で、、」
「・・・そう・・」
彼はしばらく考え込むように黙っていた。
「・・・ひとつ・・聞いてもいい?」
数分後、彼がゆっくりと口を開く。
「、、なあに?」
「君は・・・ゆきなは今の状況が好きなの・・・?・・満足している・・?」
私は苦笑する。
「、、好きなわけないでしょ、、、でも、、他に方法がないの、、、自分自身を守るためには、、 課長の言いなりになるしかないの、、、」
彼は立ち上がると、私を抱きしめた。
「会社なんて辞めて僕のとこにおいで・・」
彼ははっきりとそう言った。
「僕が・・僕がずっと守ってあげるから・・」
私は彼の腕を振り解こうとする。
「そんなことできるわけないでしょ、、?そんな、、夢のようなこと、、、」
彼はしっかりと私を羽交い絞めにする。
「どうして・・?」
頭越しに彼の声がする。
優しい彼の声、、
本当に、、そんな夢のようなことができるのかしら、、、
私達は長い間黙っていた。
最初に口を開いたのは彼のほうだった。
「とりあえず僕の部屋に帰ろう。傷の手当てをしないと・・・いいね?」
力強い彼の声に、私ははっきりとうなずいた。


都心に近い高級住宅地にそのマンションはあった。
総レンガ造りの落ち着いた佇まい。
広い、まるでホテルのようなロビーを横切るとエレベーターに乗った。
外から見ると7~8階建てのようだったのに、表示は4階までしかない。
彼は4階のボタンを押す。
エレベーターを降りて2つ目の部屋「402」が、彼の部屋だった。
~結城一幸~
表札にそう書いてある。
カードを差し込んでから暗証番号を入力、それからキーを差し込んだ。
ガチャッ。
少し重い音がしてロックが外れる。
彼はドアを大きく開くと、私を先に中に入れてくれた。
広い玄関。目の前に吹き抜けのポーチと階段。
マンションなのに、まるで1戸建てのような造りだった。
彼は1番手前のドアを開ける。
何もない和室だった。
「ちょっとここで待ってて。今、薬箱持ってくるから。」
彼はそういうと部屋を出て行った。
私は部屋に入ると壁にもたれるように座る。
数分後、彼は両手に荷物を抱えて戻ってきた。
「そんな隅っこで何してるの?」
彼が笑う。
「先にシャワーでも浴びる?消毒はそのあとの方がいいかな?とりあえずタオルと着替え持ってきたけど・・」
私は彼に抱きついた。
「どうしたの・・?大丈夫、僕がいるからもう怖くないよ・・・」
彼は私の頭を撫でてくれる。
「今まで辛かったね・・・これからは僕がずっと守ってあげるから・・・」
私の目から大粒の涙が溢れる。
「、、、どうして、、?」
「ん・・・?」
首を傾げる彼に私は言う。
「どうして、、?まだ2回しか会ってない私に、、それも、、こんなに汚れている私に、、、 どうしてこんなに優しくしてくれるの、、、?」
彼は私の頬を両手で挟むようにする。
「勘かな?・・・君に始めて会った時に僕の一生のパートナーになる人だって・・・ そう思えたから・・・」
彼が軽く唇を合わせてくれる。
「今までよりも、大切なのはこれからだから・・・会社はこのまま辞めて、しばらく家には戻らないほうがいいな。」
「でも、、、」
「ひとり暮らし?」
彼は聞く。
「はい、、、」
「なら問題ないね。あとは僕が何とかする。僕の事信じて・・君はここにいるだけでいいから・・・」
本当に、、本当に今の生活を変えることができるなら、、、
私はまっすぐに彼の瞳を見つめた。
何も変わらないよりも、、、彼を信じてみるのも、、悪くないかもしれない、、、、
「はい、、、」
私はしっかりとうなずいた。


私はその晩のうちに会社に退職願を書いた。
彼がそれをポスト投函する。
その日から彼との同棲生活が始った。
アパートの荷物は、彼が業者を通してすべて処分してくれた。
辛い思い出ばかりが詰った部屋なんて、未練はなかった。
代わりの家具や衣類や、そして私の「居場所」用意してくれた。
彼のために生きる。
私はとても幸せだった。
彼は何度もプロポーズをしてくれた。
そのたびに私は「一緒にいてくれるだけで充分だから」と首を横に振った。
カラダの傷は少しだけあとが残った。
心の傷は、、、忘れるように努力している。


そして2年が過ぎた。
「一幸さん、、私、赤ちゃんができたみたい、、、」
仕事から帰ってきた彼に、私は言った。
「本当に?」
私はうなずく。
「やった!」
彼は私を抱き上げた。
「ゆきな、今度こそ結婚してくれるね?」
私はにっこりと笑う。
「はい、、、よろしくお願いします、、、」
彼はそのまま私を寝室に運ぶとベッドの上におろした。
唇を重ねながら、優しく胸をまさぐる。
「あ・・・赤ちゃんできたらエッチはもうできない?」
彼がまじめな顔をして聞く。
「あは、、、無理なことしなければ、、大丈夫よ、、」
「しないしない。無理なことなんてしない。だから・・しよ」
優しい彼。
そして赤ちゃん。
私は最高の幸せを手に入れた。
そう信じていた、、、


「ね、、お父さんってどんな方、、?」
「親父?普通だよ。大丈夫、怖い人じゃないから。」
彼は声を出して笑う。
彼が父親に私を紹介したいと言うので、私たちは都内のシティホテルのロビーで待っていた。
彼の母親は彼が中学のときに亡くなったらしい。
約束の時間を少しだけ遅れて、お父さんは到着した。
私は深く頭を下げる。
「親父、彼女が僕の奥さんになる人だよ。」
「ゆきなです、、、よろしくお願いします、、、」
私は顔を上げ、そして凍りついた。
「、、西条社長、、、どうして、、?」
社長も少し驚いたような顔をしている。
「え?ゆきな、親父の事知っているの?」
私は彼の方を向き直る。
「どうして?一幸さん、結城って苗字じゃないの?」
「結城だよ。死んだお袋の姓なんだ。僕が5歳のとき両親が離婚したから・・」
私は驚愕の目で社長のほうを見ると、社長はにやっと笑った。
幸せが崩れて行く、、、
私は目の前が真っ暗になった。




(My妄想小説サイト:クリスタルムーンより転機)




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